日本代替・相補・伝統医療連合会議(第6回JACT大会 2002年12月21日)
東京女子医科大学 弥生会館にて

特別講演: 『エノキタケ抗腫瘍研究30年』
−基礎と臨床、癌関連遺伝子産物蛋白他の免疫染色による実証−
田中茂男
田中外科院長

田中茂男(たなかしげお)1929年生まれ
略  歴: 1954年 東京大学医学部医学科卒業。1955年同大学第3外科入局
千葉大学医学部生化学教室を経て、1962年東京大学医学博士。1962〜1965年米国ペンシルバニア大学医学部研究外科招待研究員。1965年長野県厚生連北信総合病院外科・特殊外科医長。1986年長野県小布施町に田中外科開業。(社)長野県農村工業研究所参与。専門は凍結手術(悪性・良性腫瘍および痔疾患)、主な研究領域は癌の免疫療法、エノキタケの制癌作用に関する研究。

講演要旨:
1. エノキタケの抗腫瘍成分:低分子の蛋白多糖体画分にある(EA6)の熱水粗抽出物を顆粒化した製品を現在臨床に用いています。癌患者さんへの経口投与は、熱水粗抽出物の乾燥物質重量換算1,800mg/日でした。

2. 基礎研究:エノキタケ熱水粗抽出物単独でマウスのザルコーマ180/ICRやウサギのVX2/JW-NIBSという実験腫瘍に対して強い抗腫瘍作用を示し、至適投与量で殆どの腫瘍が消失、しかも至適投与量の幅が広く、注射、経口投与ともに有効でした。

3. 疫学調査:(1)長野県全県のエノキタケ栽培家庭174,500人を対象に1972年〜86年、15年間の大規模調査で、エノキタケ栽培家庭の癌死亡率は有意に低く(60%)、特に胃癌、食道癌が統計的に有意に減少しました。(2)エノキタケ食は食品中の発癌危険因子(焼き魚、漬物ほか)を防御因子に転換させることがデータベースの解析で明らかになっています。免疫低下を来たす風邪にかかる比率も低下しました。

4. 臨床例の検証:症例1.63歳、男、直腸癌(病期第I段階)+異時性基底細胞癌(左頬)。直腸癌術前エノキタケ熱水粗抽出物1,800mg/日、2ヵ月間の単独内服で腫瘍径が30mmから12mm(40%)に縮小しました。癌組織標本の免疫染色をしたところ、増殖細胞核の染色でみると、腫瘍の先進部で陰性で、癌細胞の‘増殖が停止’したことが認められました。他の染色試験でアポトーシス(癌細胞が自然に死滅すること)、癌の自然退縮はほぼ否定できる結果でした。直腸癌術後5年目に発症した異時性皮膚癌もエノキタケ熱水粗抽出物単独内服で1年後には淡い色素沈着を残して平らになり、CR(治癒)と判定されました。
症例2.67歳、女、両側性初発進行乳癌、大型出血性(病期第III B段階)。化学療法、放射線治療は行わず、凍結手術で主腫瘍を破壊し、続いて対側腫瘍摘除、リンパ節郭清を実施しました。網状植皮縁に出現した小皮膚再発のためエノキタケ熱水粗抽出物1,200mg/日2ヵ月間経口投与し、摘除して免疫染色による検索を行ったところ、症例1と同様、癌細胞の‘増殖停止’が証明されました。なおエノキタケ熱水粗抽出物には、凍結手術によって誘導される凍結免疫を強化する作用があることがわかっています。

この発表の中で臨床例として報告されています、症例1は田中先生ご自身のご経験を発表されたものです。この内容につきましては、現代書林発行の『「ガン外科医が語る」「私のガン」はこうして治した。あの「エノキタケ」に秘められた抗ガン力を徹底検証』に詳細に語られています。その冒頭の部分を記載します。

<はじめに>
ガンは、前世紀から21世紀にもちこされた最大の課題のひとつです。
現在の日本の死亡率をみると、1980年(昭和55年)に脳卒中を抜いてガンが1位になり、3人に1人はガンで亡くなっています。からだの病気に対する抵抗力(免疫能)が、その頃から環境因子ほかさまざまな原因で低下したのが大きく影響しているようです。なかでも肺ガンが胃ガンを抜いて1位になりましたが、進歩した医療で、ガン全体をみると50%は治るようになりました。
タバコをやめるとか、食習慣、生活習慣の改善についてやかましくいわれています。それでもガンになったらどうするか?
この本の前半は、私自身のガンの体験“医者がガンにかかったとき”を、当地の医師会雑誌「須高医師会報」に3回にわたって掲載したものです。ただ、医家向けに書いたものなので医学的な術語が入っており、それに「註」を加えたりして、一般向けにわかりやすく書き直しました。
内容は、私自身の直腸ガンとその手術5年後、左頬にできた皮膚ガンの体験記録です。いろいろな事情から直腸ガンの手術を4ヵ月延期したり、皮膚ガンは手術せずに放置したのですが、その間私どもが開発したエノキタケ抽出エキス粉末(FEH-G)を単独で内服してみました。その結果、直腸ガンは手術前に縮小(2ヶ月の内服で、腫瘍の体積が8分の1以下になった)し、皮膚ガンも消失したのです。直腸ガンでは、元の病院の同僚から「あと2ヵ月も飲めばガンは消えたのではないか」と言われましたが、もしそうしていれば、のちに述べる、エノキのおかげでガン細胞が「増殖停止」を起こしていた、という証拠が残らなかったでしょう。私の場合はたまたまそうなったのですが、現在でもガンはできる限り手術で取り除くことが原則です。その点、誰にでもあてはまるように読者の皆さんに誤解されては困るのですが、エノキタケ抽出エキスはヒトにも確かに有効で、その制ガン作用は抗腫瘍免疫反応であることが証明されました。エノキタケには単独でガンに対する抵抗力(免疫)を強化する働きがあるのです。エノキタケで活性化された免疫担当細胞がガン細胞を攻撃して殺すのです。ガンは「遺伝子の病気」であることが分かってきました。将来は「ガンの遺伝子治療」が本流になるでしょう。しかし遺伝子治療はまだ端緒についたばかりで、めざましい効果をあげたものはありません。エノキタケだけでなく、免疫能を高める免疫賦活剤を上手に使ってガンを克服したいものです。この本の後半は、私どもが20年以上にわたって行ってきたエノキタケ抽出エキスの抗ガン作用に関する研究である、(1)動物実験によるエノキタケの制ガン効果とその再現性、(2)動物実験による発ガン防止効果とその再現性、(3)エノキタケ生産者家庭の疫学調査(長野県は全国でもガン死亡者は少ないのですが、県内だけ比べてもガン死亡率が低いのです)、(4)エノキタケを食べることで、発ガン危険因子が打ち消され、防御因子に転換されること、(5)エノキタケ抽出エキス単独投与の臨床例の一部、(6)難治性のガンに対する凍結手術(ガンをマイナス200度Cの超低温で凍傷にして壊す)と凍結免疫(凍結手術後に発動される、凍結腫瘍に“特異的”な免疫で、ヒトではきわめて弱いのですが、エノキタケ抽出エキスはこれを増強する作用があります)−などをまとめたものです。
疫学調査まで含めて、これだけの研究を積み重ねて制ガン作用を実証したものは、世界にも例がありません。疫学調査の結果では、エノキタケを1日10g(市販の1パックの10分の1)を常食することで43%のガンが防げることを示しています。重症の風邪は私自身、直腸ガンになった主な原因で、ひどい免疫低下を起こし、万病のもとといわれていますが、エノキタケを食べることで風邪をひかなくなることが、新たに疫学調査のデータベースの解析で明らかになりました。
エノキタケは日常の食品なので、抽出したエキスは副作用が全くありません。“現代の最も強力な制ガン剤(当然副作用も強い)でも効果はそれほどでないのに、副作用全くなしで効くわけがない”というのが大方の腫瘍学者の主張ですが、エノキについてはそうではない、たしかにガンに有効ということが、動物実験だけでなく、私自身を含めたヒトでも実証されたのです。
ガンになったらどうするか?最後に私なりに考えた指標を述べました。

田中外科院長 東京大学医学博士 田中茂男


なお、田中茂男先生のこの臨床研究結果は下記の学術雑誌に論文として掲載されており、国際的にも評価を得られています。
Skin Cancer Volume 16, Number 2, April/June 2001
Immunohistochemical assessment of the effects of biological response modifiers in cancer: A proposal
Shigeo Tanaka, M.D.
1) and Naohiro Shinohara, M.D.2)

1) Tanaka Clinic, Obuse, Japan and 2) Department of Pathology, Hokushin General Hospital, Nagano, Japan.