食用きのこ情報
農工研通信 平成15年 第4号 No.128
学会発表報告

第62回日本癌学会
−きのこが胃がんリスクを下げる可能性について発表−
        
        (社)長野県農村工業研究所 常務理事 松澤恒友

 去る9月26日、名古屋国際会議場で開催された「第62回日本癌学会」で国立がんセンター臨床疫学研究部は「長野県の低がん死亡率と農作物との関連について疫学研究」の結果をとりまとめ発表した。本発表テーマは、JA全農長野が提案し、平成10年から14年にかけて、JA長野厚生連佐久、長野松代、北信、篠ノ井の4病院と国立がんセンター臨床疫学研究部、(社)長野県農村工業研究所の共同研究により、行ったものである。
 研究は、長野県に特徴的な食物摂取と胃がん・大腸がんとの関連を疫学研究によって明らかにすることを目的としたもので、JA長野厚生連4総合病院で胃がん或いは大腸がんの診断を受け調査協力に同意した人と、人間ドックの受診でがんになっていない人の協力を得て、生活習慣の調査を行った。収集した症例数胃がん153例、大腸がん121例について、国立がんセンター臨床疫学研究部で解析を行った結果、ブナシメジ、ナメコは「ほとんど食べない」人が胃がんとなる確率を1とした場合、「週1日以上食べる」人は0.56に減少し、エノキタケも「週3回以上食べる」人は0.66に減少する可能性が示唆された。
 疫学研究によるこの様な研究成果は大変貴重であり、きのこのがん予防効果について、さらに大規模な疫学研究の中で明らかにする価値のあることも示唆され、学会参加者はじめNHKなど報道関係からも身近な食用きのこでの調査結果ということで大変注目された。共同研究者の一人として、本研究発表が今後の長野県きのこの消費拡大の一助となれば幸甚である。
 最後に、共同研究をお願いしました国立がんセンター、JA長野厚生連・佐久、長野松代、北信、篠ノ井総合病院の諸先生方並びにJA全農長野の関係者に心より感謝申し上げます。