--- 研究報告 ---
「きのこの生理活性について」
日本統合医学研究会、長野県農村工業研究所  池川哲郎

【要旨】
国立がんセンターにおいて免疫賦活物質を癌の化学療法に応用する研究が実施された。われわれはその課程で、担子菌類、特にきのこ類に宿主介在性抗癌活性があることを見いだし、いくつかの多糖類を分離した。このうち、シイタケからはβ-(1-3)-グルカン、レンチナンを分離し、臨床応用されている。しかし、単純多糖体はipで強い活性を示したが、poでは活性を示さなかったので、poで同系腫瘍に有効な物質を検索した結果、エノキタケから蛋白質結合多糖体EA6(プリフラミン)を見いだした。ブナシメジについては、通常の飼料に5%乾燥子実体含有飼料を作製して、通常飼料で飼育する対照群ときのこ含有飼料で飼育する処置群に分けて飼育し、すべてのマウスに強力な発癌物質であるメチルコランスレンを皮内に注射して、発癌状態を観察した。その結果、対照群では36匹中21匹に発癌が確認されたが、きのこ飼料飼育群では、36匹中わずかに3匹しか発癌しなかった。このように、きのこ摂取が発癌予防効果があることが証明された。一連の研究から、食用きのこに優れた抗癌活性が認められ、「医食同源(薬食同源)」ということが改めて認識された。

キーワード:多糖体、蛋白質結合多糖体、エノキタケ、ブナシメジ、食用きのこ、きのこの抗癌活性

この論文はBiotherapy 第14卷 第10号(2000年)に掲載されたものです。この論文をご希望の方はFAXで日本統合医学研究会にお申し込みください。
FAX:03-5298-3663


 
「進行癌に対するEEMの臨床的試み」
EEMとMPAの悪疫質と免疫機能改善効果の比較研究


河北医科大学 第四病院 腫瘍内科   馮 威健
新宿石川病院(自治医科大学名誉教授) 永井 純
日本統合医学研究会 常任理事     池川哲郎


【要旨】
国立がんセンター研究所化学療法部において実施された広範囲にわたるきのこ類の抗癌作用の研究結果に基づいて開発された健康補助食品, EEMについて、進行癌、再発癌患者に認められる悪疫質(cachexia)とQOL(quality of life)
の改善に対する有効性をMPAと比較して検討した。 M PA治療群ではclinical response は認められなかったが、 EEM治療群では1例にPRが認められ、response rateは9.1%であった。本剤投与後6カ月経過した時点で、6カ月以上の生存症例数は EEM治療群で4例中3例、 MPA治療群では5例中1例であった。QOLについては、EEM治療群では食欲増進が11例中8例に認められたが、 MPA治療群では10例中6例であり、体重の増加においてもEEM治療群が優れていた。
Karnofsky scoreの解析では、EEM治療群では11例中8例(72.7%)の改善例が得られ、悪化した症例は認められなかったが、MPA治療群では10例中3例(30%)しか改善例は認められず、悪化した症例も3例(30%)存在した。
免疫機能は投与前に比較し、EEM群でTリンパ球の増加が観察され、M PA治療群より顕著であった。特に、ヘルパー Tリンパ球の増加が観察された。

キーワード:EEM 進行癌 再発癌 悪疫質(cachexia) MPA

この論文はBiotherapy 第15卷 第6号(2001年)に掲載されたものです。この論文をご希望の方はFAXで日本統合医学研究会にお申し込みください。
FAX:03-5298-3663


抄録